先ず、バーストのエネルギー源について詳細に調べた。可能性としては、質量降着、中性子星の回転エネルギー、熱エネルギー、クラストの弾性エネルギー、そして磁場のエネルギーが挙げられる。伴星がみえないことから質量降着は除外される。回転エネルギーは小さく、明らかに足りない。内部温度を〜10^8Kと見積ると熱エネルギーも充分ではない。弾性エネルギーはクラスト破壊が起こるときの歪みの限界値に依る。この限界値はよく解っていないが、上限と思われる値を用いてもジャイアントバーストのエネルギーには達しない。磁場のエネルギーは、その強さを〜10^<15>Gとすると〜10^<47>ergになり、どんなバーストでも充分に説明できる大きさである。バーストのエネルギー源はやはり磁場と結論される。 次に磁場のエネルギーが爆発的に解放される星震モデルについて検討した。磁場のストレスでクラストが変形し、星震が起こると考える。このとき、解放されるエネルギーはクラストの弾性エネルギー以下であろう。したがって、このモデルは、繰り返し起こるがサイズの小さなバーストには適用可能である。 ところで星震が起こるためにはクラスト物質は硬く砕けやすい(brittle)という性質を持たねばならない。しかし〜10^<15>Gの磁力線が貫くとクラスト物質は、硬く砕けやすいというよりはむしろプラスチックに近い状態になる可能性がある。このときは磁力線のストレスでクラストは容易に変形し、星震は起きないことになる。もしクラストがプラスチックのようであれば、中性子星内部の磁力線の動きが容易に外部に伝えられ、磁気圏で磁力線が再結合しフレアーが起こると期待される。これらの問題は今後の研究課題である。
|