研究概要 |
4U 0142+61はAnomalous X-ray Pulsar(AXP)に分類されているパルサーで、パルス周期(P)は8.7秒である。P, 〓から磁場を見積もると1.4×10^<14>Gとなり、中心星はマグネター(超強磁場中性子星)である。私たちは、1999年、ASCA衛星によって得られたデータを用いて、パルス周期の時系列解析を行った。そしてASCA衛星の結果をRXTE衛星の結果と比べることから、ASCA衛星の観測以前に、このパルサーではグリッチ(パルス周期の突然のジャンプ)があったことを発見した。グリッチに際してのパルス振動数の増加はΔv/v〜10^<-4>,また減速率の増加はΔ〓/〓〜10^<-2>であった。これらの値はふつうのパルサーで観測される値と同程度であり、マグネター内部の構造は、ふつうの中性子星とあまり変わらないことが示唆される。更に、グリッチと関連していると思われるパルスプロファイルの変化も観測された。たぶん、磁気圏の変形が原因と考えられる。 SGR 1806-20は、ソフトγ線の爆発的な放射を繰り返す、Soft Gamma Repeater(SGR)である。パルス周期は7.5秒、磁場の強さは8×10^<14>Gである。中心星はマグネターである。2004年12月8日、このSGRから大爆発の結果と思える多量のソフトγ線が観測された。GEOTAIL衛星により、アウトバースト初期の光度曲線が観測され、球対称を仮定すると放射エネルギーは10^<46-47>ergsにも達することが分かった。私たちは相対論的なスピードで動くジェットからの放射を考え、光度曲線を再現することに成功した。ジェットモデルと観測との比較から、ジェットの開き角は0.2radian以下という制限をつけることができた。また、ジェットのコリメーションを考慮すると、総放射エネルギーは6×10^<46>ergsとなることも明らかとなった。 以上の研究は今後、マグネターのアウトバーストメカニズムを研究する上で、重要な手がかりを与えると考えられる。
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