1.超強磁場中性子星の熱的進化 磁場の散逸を考慮にいれ、超強磁場中性子星の熱進化を調べた。特に、磁場の散逸が中性子星の表面温度に与える影響を調べた。数値計算を実行し、さらに解析的な分析を行った。その結果、ニュートリノ放射は温度に強く依存するため、磁場散逸の表面温度への影響は小さいという結論に達した。そしてSoft Gamma Repeater(SGR)およびAnomalous X-ray Pulsar(AXP)から観測されている定常X線の熱的成分は、中性子星の冷却では説明できないことが明らかとなった。 2.4U 0142+61の多波長同時観測 すばる望遠鏡、UH88望遠鏡、RXTE衛星を用いた、マグネター4U 0142+61の、X線、可視光、近赤外線による多波長同時観測を行なった。その観測結果から、可視光〜近赤外線の放射が、2成分から成っていることを発見した。また、可視光のRバンドに以前の観測では見つからなかった吸収構造を発見し、それが、マグネターの放射機構に強い制限を与えることを示した。 3.4U 0142+61の近赤外線観測 すばる望遠鏡の近赤外線検出器IRCSを特殊なモードで使用することにより、マグネター4U 0142+61の近赤外線パルスを世界で初めて観測することに成功した。さらに、X線パルスと位相を比較することにより、近赤外線パルスとX線パルスが同位相であることを発見した。これにより、近赤外線パルスが、X線と同様にマグネターの近傍から放射されていることが示された。
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