(1)我々の銀河系中心光年領域の質量分布を調べる。 我々の銀河系中心光年領域には多くのSiOメーザ源が発見されている。これらのSiOメーザ源を巨大電波干渉計VLBAで観測し、個々の固有運動を計測し、銀河系中心光年領域の質量分布の測定を試みる。計6回の観測を行い、うち1回は天候が悪く良いデータを得られなかった。現在残り5回の観測時期のデータを解析し、中心から1.1光年にあるIRS10EEの固有運動の測定をおこなっている。当初の2回の観測からは年間4.74masの値を得ているが、その後の約1年、時期の異なる3回の位置測定はまだ予備的なものであり、なお解析中である。ただし、SiOメーザの強度が過去最大になった時期に、新たなメーザスポットがIRS10EEに現れることを確認した。 また中心部数十星からのSiOメーザの視線速度の解析から半径1光年での内包質量をこれよりも大きい値約400万太陽質量を求めた。 (2)我々の銀河系中心巨大ブラックホールのジェット及び降着円盤を解像する。 我々は既に世界で初めて、SgrA*のジェット構造の描きだすことに成功している。ジェットはほぼ光速で噴出する。その後別時期のSgrA*の観測からはおよそ楕円状の像が得られ、ジェット状の吹き出しは見えない。近年サブミリ波、赤外線の強度測定において1時間程度の短いフレアが何度も検出されており、その時、ジェットが間欠的に発生すると思われる。
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