研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、2重魔法核と予測される、未発見である^<78>Ni(陽子数28、中性子数50)及び^<110>Zr(陽子数40、中性子数70)原子核の探索を最終目標とし、中性子過剰不安定核領域での核構造の新たな描像を探ることにある。その為、本研究では、1)高速且高効率で質量分離器に引き出す新イオンガイド法(RFイオンガイド法)を開発する。2)東北大学サイクロトロン・ラジアイソトープセンターに設置された新サイクロトロンによる大強度中性子ビームを生成し、ウラン等の核分裂反応により、中性子過剰核の生成分離を行う。3)東北大学サイクロトロン・ラジアイソトープセンターに新設されるコンプトン抑止クローバー型ゲルマニウム半導体検出器(6台)によって、高効率のガンマ線及びベータ線検出器により、1atom/secの収集率でも分光可能な測定系を用い、この装置をもって中性子過剰核領域の原子核分光を行う事を目的として、平成15年度より開始された。最初のステップとしてRFイオンガイド法の開発に取り組んだ。^<252>Cf,^<227>ACなどの線源テストにより、大型イオンガイド箱からの不安定原子核の取り出しパラメーターの取得を行い、平成15年12月、サイクロトロンからの陽子ビーム入射によるウランの核分裂反応からの核分裂生成物の取り出しに成功した。最初の段階で、既に従来の小型イオンガイド法で得られた収量を5-10倍と大きく上回っており、RFイオンガイド法の可能性をうかがわせている。特に、引き出し部に新設したRF電場によるガイド(RFカーペットと呼んでいる)の効果は顕著であった。16年度には、生成核停止用ガス圧の増大、不純物ガス成分の除去、などの改良が行われ、さらに10倍の収量を得、現状では、中性子過剰核領域の未知核探索にもっとも強力な道具の一つになっている。このことから、質量数100の領域では、現段階の収量でも未知核領域の分光実験が可能な収量が得られるようになったことで、目的3)の高効率ガンマ線検出器システムとの組み合わせで、中性子過剰不安定核の磁気および4重極モーメント測定を含んだ実験が行われた。継続する16年度の最終段階で実験が行われ解析が行われている。同時に、16年度において、100MeVクラスのサイクロトロンとして始めて負イオン加速による大強度陽子加速が実行され大強度中性子ビーム生成の利用が可能になった。
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Proceedings of The Fifth Japan China Joint Nuclear Physics Symposium (2004). Fukuoka, 233-234
ページ: 233-234
Proceedings of The 17th International Conference on Cyclotrons and Their Applications 2004, Tokyo (to be published)
Proceedings of The Fifth Japan China Joint Nuclear Physics Symposium, Fukuoka
Proceedings of The 17th International Conference on Cyclotrons and Their Applications, Tokyo (to be published)
CYRIC ANNUAL Report 2002
ページ: 21-23