研究概要 |
ガラスRPCがKEK-BファクトリーのBelle実験におけるミュー粒子およびK^0_L粒子の検出に供されている。ここでのガス混合は8%C_4H_<10>,30%Ar、62%C_2H_2F_4(標準ガスと定義する)であり、ストリーマモードで運転されている。レート計数能力は0.3Hzで計数効率は95%から80%に低下する。今年度はガラスRPCを用いて、レート計数能力を高める研究を行ってきた。非可燃性ガスにするため8%C_4H_<10>は固定し、Ar濃度とフレオン(C_2H_2F_4)、CO_2、SF_6ガス濃度の混合割合を変化させて、読み出しストリップに誘電され電荷量との関係を調べた。標準ガスではこの電化量は100pCとなる。ストリーマモードでもこの電荷量を小さくできれば原理的にレート計数能力を高めることができる。以下は今年度の作業・研究実績である。 1 ガラスRPC(30×30cm^2サイズ)を10台制作。計測回路、ガス配管など実験装置全体の組上げ。 2 RPCガス混合による計数効率、誘導電荷量、単独計数、暗電流などの測定・実験の結果、(1)SF_6ガスは強い電子親和力を持ち10%以上の濃度では15kV以上の高電圧が必要になり現実的にはメリットがないので5%に設定した。また、C0_2に関しては使用するほどの良い結果が得られなかった。 (2)その上で、フレオン:Arの濃度比に対して上記の量を計測した。フレオンの量がフレオン:Arの比で1:2以上であれば、電荷量は30pC以下になる。ただし、フレオン濃度を上げる(Ar濃度を下げる)と電極間電圧を10kV以上と高くする必要があるので、1:1が適当である。 よって、8%C_4H_<10>,43.5%Ar、43.5%C_2H_2F_4、5%SF_6ガス混合によるストリーマモードで1Hzまでは計数効率90%以上が可能となった。
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