研究概要 |
1)テータ項を持つCP^{N-1}などの格子場の理論における複素ボルツマン因子の問題に対する「最大エントロピー法(MEM)」の有効性を検討した.負符号問題により,スムーズでないデータ分布が得られる現象はフラットニング"と呼ばれる.フラットニングがあるケースについて最大エントロピー法(MEM)を適用し,よりなめらかなテータ分布が得られる場合があることを示し結果は以前つぎの論文に発表した.M.Imachi, Y.Shinno and H.Yoneyama. Prog.Theor.Phys.{bf 111}No.3(2004).しかし一方,相転移などで「物理的なフラットニング」が予想される場合,MEMが正しくこれを再現するかどうかについて今回、詳細な検討を行った.結果をNucl.Phys.(Proc.Suppl.)140(2005),617-619に発表した. 2)Azcoitiらはテータを複素数にする方法を提案した。 CP^{2}modelについてAzcoitiらが行っていない弱結合領域に適用してfree energyのh(=imaginaryテータ)依存性にstepwiseなふるまいが現れることを確かめた.以前に科研費で導入した3台のアルファchip搭載のPCと平成15年度購入の(H15.9.1:ノートPC(CLEVO 400)),平成16年度購入のデスクトップPC(H17.2.25,DeskTop2台:Vip-HG 5330G/DVRDL, Vip-HG5432P/DVRDL/GF66)などを動員して数値実験を行い,論文にまとめた(hep-lat/0601028井町,上林,新野,米山)}.imaginaryテータの問題は有限密度QCDの化学ポテンシャルの問題と密接に結びついており,最近de Forcrandら(Kratochvila and de Forcrand, hep-lat/0409072, hep/lat/0509143)が行っている化学ポテンシャルの結果はやはりstepwiseなふるまいを示しており,今後の大変興味深い問題が浮かび上がりつつある.
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