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2004 年度 実績報告書

超対称標準模型およびその拡張された模型の現象論の研究

研究課題

研究課題/領域番号 15540255
研究機関東京大学

研究代表者

久野 純治  東京大学, 宇宙線研究所, 助教授 (60300670)

キーワード超対称性 / 超対称標準模型 / 超対称大統一模型 / フレーバー対称性の破れ / CP非保存 / 異常電気双極子 / 宇宙の暗黒物質
研究概要

超対称標準模型における超対称性の破れのパラメーターのフレーバー構造は超対称性の破れの起源や、超対称標準模型を越える理論の構造に強く依存するため、超対称性の破れを起源とするフレーバー対称性の破れの事象やCP対称性の破れの事象の探索により超高エネルギーの物理を探ることができる。特に、多くの研究者に興味をもたれている超対称大統一模型は、標準模型には存在しないフレーバー対称性の破れを予言し、それらは相互に関係がついているため、非自明な検証が可能である。
ハドロンの異常電気双極子能率(EDM)は標準模型の予言が非常に小さいため小さく、標準模型を越える理論を探る有力な方法であると考えられている。その観測量自体はフレーバー対称性を破っていないのであるが、ループ効果を通してフレーバー対称性の破れに依存しうる。久野はハドロンのEDMによりスクォークの質量項におけるフレーバー対称性の破れの構造に対し強い制限を与えた。また、これを元に超対称大統一模型を制限し、そこから導かれる予言を検討した。
超対称標準模型において、陽子の安定性からRパリティが要請されるが、これによりもっとも軽い超対称粒子は安定となり、その粒子は宇宙の暗黒物質の候補となりえる。WMAP衛星による宇宙論パラメータの精密測定により暗黒物質の存在が確固となった現在、次の間題は暗黒物質の正体は何であるかである。暗黒物質の探索には、原子核と暗黒物質との弾性散乱による直接探索と、宇宙における暗黒物質の対消滅現象起源の異常宇宙線探索がある。
超対称標準模型において暗黒物質の性質は超対称性の破れに依存し、ある種の模型は暗黒物質が電弱電荷を持つことを予言する。久野はこの場合暗黒物質探索において量子効果が重要であることを示した。特にTEVスケールの質量を持つ暗黒物質の場合、共鳴効果により爆発的に対消滅現象が増大することがある。以前の解析ではTEV領域の質量を持つ暗黒物質の探索はその事象の数の少なさから困難と思われていたが、この解析によりその可能性が増えた。また原子核との弾性散乱の断面積に対しても有意な補正を生む場合があることも示した。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2005 2004

すべて 雑誌論文 (4件)

  • [雑誌論文] Direct detection of the Wino- and Higgsino-like neutralino dark matters at one-loop level2005

    • 著者名/発表者名
      J.Hisano, S.Matsumoto, M.M.Nojiri, O.Saito
    • 雑誌名

      Physical Review D71

      ページ: 015007

  • [雑誌論文] Non-perturbative effect on dark matter annihilation and gamma ray signature from galactic center2005

    • 著者名/発表者名
      J.Hisano, S.Matsumoto, M.M.Nojiri, O.Saito
    • 雑誌名

      Physical Review. (発表予定)

  • [雑誌論文] Hadronic EDMs induced by the strangeness and constraints on supersymmetric CP phases2004

    • 著者名/発表者名
      J.Hisano, Y.Shimizu
    • 雑誌名

      Physical Review. D70

      ページ: 093001

  • [雑誌論文] Hadronic EDMs in SUSY SU(5) GUTs with right-handed neutrinos2004

    • 著者名/発表者名
      J.Hisano, M.Kakizaki, M.Nagai, Y.Shimizu
    • 雑誌名

      Physics Letters B604

      ページ: 216

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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