研究概要 |
古典力学において有名な最速降下線問題を参考にして,量子的な状態変化の時間的最適化を変分問題として定式化した。 ハミルトニアンに対する自然法則上あるいは実験装置から来る制約などをあらわす束縛条件のもとでの最適化を問題にするが、その条件から構成される関数について、普遍的な「量子最速降下方程式」が成り立つことが示された。 1ビットの簡単な例でその手順を示した一階常微分方程式に帰着されるので、原理的に解ける。 量子計算への応用を考えて,与えられたユニタリ変換を最短時間で実行する問題を同様の方法で取り扱い,2ビットのハイゼンベルクモデルで幾つかの量子演算素子の構成を例示した。(以上、出版済) さらに混合状態のマルコフ的な状態変化の場合へとリンドブラッドによるマスター方程式に基づいて拡張し、1ビットのモデルで、最適のハミルトニアンと測定に対応するリンドブラッド演算子を与えた。投稿中、国際会議で発表)これは、状態変化としてユニタリーな発展のみならず測定過程やデコヒーレンスも考慮に入れた一般的なものになっている。
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