研究課題/領域番号 |
15540262
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
伊藤 克美 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 助教授 (50242392)
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研究分担者 |
五十嵐 尤二 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (50151262)
宗 博人 愛媛大学, 理学部, 教授 (20196992)
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キーワード | くりこみ群 / 超対称性 / 正則化 / ゲージ対称性 / 格子理論 / アノマリー |
研究概要 |
本年度の研究実績は以下の2点に渡る。 (1)くりこみ群を用いた場の理論の取り扱いにおいて導入する正則化は、多くの重要な応用において理論の持つ対称性と相容れない。しかし、一連の我々の仕事で明らかな通り、反場形式を用いて書かれたWilson作用がマスター方程式を満たすことと対称性の保持は等価である。この様な論理で対称性を維持しながら、くりこみ群の流れの式を追うことが具体的な処方箋として可能なのかを検討することを目標としている。我々は、カイラル対称性を持つ系において、流れの式は(量子)マスター方程式のもとで不変でありformalにはBRS対称性が維持されることを理解した。また、QEDについて同じ枠組みで議論しQMEと流れの式を得た。この結果は、本年度ギリシャであった会議、Exact Renormalization Group 2006で五十嵐が報告した。 (2)宗による格子ゲージ理論に関連する成果としては以下のものがある。 ・(グラスマン対称性を持つ)市松格子上の理論では、staggered fermionを利用している。このことと関連して、doublingに起因した余分な自由度をどう考えるか・扱うか、ということが明らかにされなくてはいけない。この点を理解することを目標として昨年度に書いた論文で、staggered fermionに自然に内在するSO(2D)群の構造を尊重する様にstaggered fermionの再構成を行った。現在、この群を用いて、複数の自由度を区別する論理を宗が中心となって検討中であり結果の一部を論文にして投稿中である。 ・理化学研究所の鈴木博氏らと共に次元零の系において、Wittenの大局的ゲージ・アノマリーに対応するものを議論した。例えば、Majorana-Weyl fermionのある2次元SO(2N)Yang-Mills理論を零次元に退化させた模型はこの様なアノマリーを持つ。他の例も議論した。 ・外場として重力場のある場合についてoverlapタイプのDirac演算子を構成した。局所ローレンツ対称性は明白であるが、一般座標変換不変性は連続極限で実現するものと想定される。このダブラーのないDirac演算子は通常のGinsparg-Wilson関係式と、γ_5エルミート性を満たす。重力のもとでの格子index定理が成り立ち、古典極限ではindex densityはDirac genusを再現する。
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