研究概要 |
超高エネルギーガンマ線天文学の観測は、我が国のCANGAROO、ドイツのMaxPlanck, Heidelbergを中心とするH.E.S.S,グループによる4台の望遠鏡が2003年度中に完成し、米国のVERITASグループの計画も建設を開始した。さらに、ドイツMaxPlanck, Munichを中心とするMAGICグループの17m口径望遠鏡も稼働を開始した。このような新しい状況のもとで、近未来の超高エネルギーガンマ線天文学を展望しつつ且つそれに基づいて 1.本研究課題の今後の研究発展の方向性を、位置づけ把握することに努めた。 すなわち、2004年8月に筑波で開催された第28回宇宙線国際会議に於いて、"TeV Gamma Ray observations and Origin of Cosmic Rays"(VERITASグループのT.C.Weekes, H.E.S.S,グループのH.Voelkと共に)の題目で行ったplenary talkを利用し、さらに10月に行われたMAGIC17m口径望遠鏡完成式典に伴うワークショップに於いて、"A vision of the future of HE, VHE Gamma Ray Astronomy"の題目での招待講演を行った。前者の講演論文によって、宇宙線の起源を解明する観点から、超高エネルギーガンマ線の観測を一層高いエネルギー領域に向けて開拓する必要性について考察し、後者では、このような「フロンティア開拓」の意義と進行中の諸計画の観測目的・観測技術改良の方向性等との関連性について論じた。 2.MAGIC17m口径望遠鏡完成式典およびその後のHeidelbergでのシンポジウムを利用して、海外協力研究者であるR.Ong(California), F..Aharonian(Heidelberg)と研究打ち合わせを行い、超高エネルギーガンマ線源で生成される磁場の乱れが観測データに与える影響などについて討論した。この課題を発展的に本研究課題に取り入れる可能性の考慮・検討を、茨城大学等の国内研究者とともに開始した。 3.10^<15>電子ボルト以上のガンマ線の宇宙空間での伝播過程の計算について、当初の計画案に沿って解析的方法による検討・吟味を加えつつ、数値計算が進行中である。
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