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2003 年度 実績報告書

高次元宇宙論における大域的時空構造の研究

研究課題

研究課題/領域番号 15540267
研究機関京都大学

研究代表者

小玉 英雄  京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (40161947)

キーワードブラックホール / 大域的時空構造 / 時空特異点 / ゲージ不変摂動論 / 高次元理論 / 摂動的安定性 / 一意性 / ホライズン
研究概要

本年度の研究内容および成果は次の通りである.
1.4次元軸対称ブラックホールの大域的構造の研究:Kerrブラックホールの一般化である富松佐藤解(TS解)およびその非回転極限であるZipoy-Voorhees-Weyl解(ZVW解)の大域的時空構造を調べ,これまで知られていなかった特異構造およびホライズン構造を明らかにした.特に,ZVW解に関して,その特異点集合は変形パラメータδが1より大きいときリングの構造をもつこと,特異点は裸であるにもかかわらずδ>0のとき正の質量を持つこと,δが2,3ないし4以上のときこの特異リングを赤道とする縮退型ホライズンをもつことを示した.また,TS解については,δ=2の解が2成分の縮退型ホライズンをもち,それらが円錐特異性をもつ軸でつながっていることを見いだした.これらの成果は,Class. Qauntum Grav.誌に発表された.
2.静的高次元ブラックホールの摂動論:宇宙項をもつ任意次元のEinstein-Maxwell系において,球対称な場合を含む一般化された静的ブラックホール解の摂動方程式が,互いに分離したSchrodinger型2階常微分方程式(マスター方程式)の系と同等であることをゲージ不変な定式化を用いて示し,対応する有効ポテンシャルおよび源項の具体的表式を世界で初めて与えた.さらに,この定式化とS-変形という手法を用いて,宇宙項がある場合の4次元球対称静的ブラックホール,任意次元のSchwarzschildブラックホール,宇宙項がゼロ以上で4次元および5次元の電荷をもつブラックホールが摂動的に安定であることを証明した.また,定常的摂動解の振る舞いを詳しく調べることにより,漸近的de Sitter4次元正則ブラックホール解,任意次元の漸近的平坦および漸近的反de Sitter正則ブラックホール解が,静的極限の近傍で球対称解およびそれに回転を加えた解に限られること(摂動的一意性定理)を示した.これらのうちマスター方程式およびブラックホールの安定性に関する成果は,Prog. Theor. Phys.誌に3編の論文として発表した.また,摂動的的一意性に関する成果については現在論文を作成中である.

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] Kodama H., Kikida W.: "Global structure of the Zipoy-Voorhees-Weyl spacetime and the δ=2"Class.Quant.Gravity. 20. 5121-5140 (2003)

  • [文献書誌] Kodama H., Ishibashi A.: "A master equation for gravitational perturbations of maximally symmetric black hole in higher dimensions"Prog.Theor.Phys.. 110. 701-722 (2003)

  • [文献書誌] Ishibashi A., Kodama H.: "Stability of higher-dimensional Schwarzschild black holes"Prog.Theor.Phys.. 110. 909-919 (2003)

  • [文献書誌] Kodama H., Ishibashi A.: "Master equations for perturbations of generalized static black holes with charge in higher dimensions"Prog.Theor.Phys.. 111. 29-73 (2004)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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