今年度は、(1)Cubic String Field Theoryにおける時間依存古典解の解析 (2)Vacuum String Field Theory(VSFT)のD25-brane解周りのゲージ構造の解析 (3)VSFTにおける時間依存古典解の構成と解析 の三つのテーマについて研究を行った。 弦理論には不安定なD-brane(ソリトン)が存在し、それらの崩壊の時間依存過程が様々な観点から興味を持たれている。この崩壊過程は従来共形場の理論を用いたtree levelの解析がなされてきたが、弦理論の非摂動論的定式化である『弦の場の理論』による本格的な解析が望まれている。このためには、まず、弦の場の理論において不安定D-braneの崩壊過程を表す古典解を構成する必要がある。上記の研究の内、(1)はこの時間依存古典解を、不安定D-brane周りの理論であるCubic String Field Theoryにおいて構成することを試み、その解の振る舞いを調べた研究である。なお、不安定D-braneが消滅した配位周りの理論であるVacuum String Field Theory(VSFT)に基づいた構成もおこなったが[(3)]、この論文は現在雑誌に投稿中である。また、(2)では、VSFTを出発点として、その不安定D-braneを表す静的な解の周りで果たして通常のphotonに関係したゲージ不変性等の構造が再現されるかどうかを詳細に解析した。我々の結果は、ゲージ変換の構造は正しく再現されるが、photonの物理的モードが横波だけであるという要求に関しては未だ問題がある、というものであった。
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