研究概要 |
主に,最小超重力模型,右巻きニュートリノを含む超対称SU(5)大統一模型,超対称U(2)フレーバー対称模型について調べた.超対称SU(5)大統一模型については,右巻きニュートリノの質量行列について,縮退している場合と縮退していない場合の2種類について,近年のニュートリノ振動の実験結果を取り入れて調べた.特に,これらの模型における,K中間子崩壊におけるCPの破れ,(スーパー)Bファクトリー実験での各種のフレーバーシグナル,およびミュー中間子崩壊などのレプトンセクターでのフレーバーシグナルの相関について解析した.その際,宇宙背景輻射などの最近の宇宙論的観測から示唆される暗黒物質が,超対称模型にあらわれるニュートラリーノであると考えた場合に,これがフレーバーの物理とどの様な関わりをもつかを考慮した.また,実際の数値計算においては,エネルギーフロンティアーでの加速器実験であるLHCとの関連を重視し,LHCにおける種々の解析で用いられているパラメーター空間中のベンチマークポイントを用いた. その結果,超対称SU(5)大統一模型では,宇宙論的観測からの制限により,クォークセクターでのシグナルとレプトンセクターでのシグナルの間に強い相関があることが分かった. さらに,Bファクトリー実験やK中間子実験では量子相関の強い系が実現されることを利用した各種の相関不等式の検証の可能性について,予備的な研究を継続して行なった. また,上記からも明らかなように,素粒子物理学の宇宙論的側面の重要性を鑑みて,ニュートリノ混合と宇宙背景ニュートリノに関する予備的研究を行なった.
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