| 研究概要 |
主に最小超重力模型,超対称SU(5)模型,超対称U(2)フレーバー対称模型,について調べた.超対称SU(5)大統一模型については,右巻きニュートリノの質量行列が縮退している場合と縮退していない場合の2つに分け,さらにスカラーレプトンの混合について,1-2混合,2-3混合,1-3混合の3つの場合を考慮した.超対称U(2)フレーバー対称模型については,レプトンセクターの考慮する場合としない場合について検討した.
これらの模型について,フレーバー物理の観点から重要となる様々な現象についての研究を行なった.クォークセクターについては,B_d中間子混合,B_s中間子混合,K中間子混合に於けるCPの破れ(ε_K),b→sγ,B→φK_s,b→dγなどについて計算を行なった.レプトンセクターについては,μ→eγ,τ→μγ,τ→eγなどについて計算を行なった.これらの計算の結果,最小超重力模型は,最近のB_s中間子混合についての実験結果を考慮すると,ほとんど新たなフレーバー現象は期待できず,許されるパラメータ空間も僅かであることが分かった.また,右巻きニュートリノを含む超対称SU(5)大統一模型については,右巻きニュートリノの質量行列が縮退していない場合に大きな標準模型からのずれが起こり得ること,レプトンセクターのフレーバーシグナルはスカラーレプトンの混合によって様々な場合が期待されることを明らかにした.さらに,超対称U(2)フレーバー対称模型については,レプトンセクターを考慮するためにはし,模型が複雑になり予言が模型の詳細に依存してしまうことが分かった.以上の議論に於て,電気双極子モーメントについての既存の結果を考慮した.
宇宙ニュートリノについても研究を行なった.その結果,ニュートリノがマヨラナ粒子の場合,宇宙ニュートリノと巨視的な物質との散乱確率は,フレーバー混合に大きく依存することを明らかにした.
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