研究概要 |
A)最近ニューヨーク州立大学研究グループらは核力の短距離成分の効果を実効的にとりこむ上で、模型空間を定義する運動量上限値(以下、上限値)は2/fm程度でよいと主張し、それに対して賛否両論の立場から多くの研究がなされている。そのことの是非を少数核子系と有限核においてユニタリ変換にもとづく方法で数値的に検討した。 A1)He3およびH3核の結合エネルギーの計算値は上限値に強く依存し、上限値2/fmを用いた計算は過剰結合をもたらすことが判明した。 A2)O16核の結合エネルギーの計算値も,上限値1-2/fmの近傍の値に対して最低値をもつなど、上限値に強く依存し、上限値2/fmを使用した計算は過剰結合エネルギーをもたらすことが判明した。 A3)O15核の1空孔状態エネルギーの絶対値も上限値に強く依存することが判明した。 A4)O15核の1空孔状態エネルギーの相対値(スピン軌道分岐エネルギー)の上限値への依存性は、1/fm近傍を除いて、ほぼ一定であることがわかった。 A5)O17核の1粒子状態エネルギーの絶対値も上限値に強く依存することが判明した。 A6)O17核の1粒子状態エネルギー相対値の上限値への依存性はほぼ一定であることがわかった。 B)最近、ニューヨーク州立大学研究グループらにより、低運動量空間におけるエルミート型の有効相互作用の新たな導出法の提案と既存の方法との比較検討がなされた。 B1)彼らの分析を踏まえ、三つの代表的な導出法を理論的に比較検討し、模型空間からその補空間への転写演算子の新しい表現を与えた。 B2)エルミート型および非エルミート型を有効相互作用の系統図を与えた。
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