偏極パートン分布の最適化と誤差解析 構造関数g_1の実験結果から最適縦偏極パートン分布を求める研究を進めた。現存する陽子、重陽子と^3Heのg_1に関する実験結果を解析し、最適偏極パートン分布を提案した。次に、この偏極パートン分布に対する誤差解析をHessian法を用いて行った。偏極深非弾性散乱の実験データをχ^2解析して誤差行列を得、それを用いてパートン分布の誤差を評価した。その結果、偏極価クォーク分布は正確に決定できるが、偏極グルーオン分布に対する誤差が非常に大きいことを明示した。従って、現時点ではΔg=0さえも可能であることがわかった。 Mellin変換を用いたQ^2発展方程式の数値解 Mellin変換を用いてQ^2発展方程式の数値解を研究した。Mellin変換により分布関数のモーメントのQ^2変化を容易に計算することができる。このモーメントをxの分布に戻すために逆Mellin変換をするが、この部分にGauss-Legendre求積法を用いた。複素平面内の積分経路を工夫することにより、正確な数値解が求まることがわかった。特に、Brute-forceの数値解法と比較して数値解の精度を示した。Gauss-Legendre積分のポイント数N_<GL>としては50程度取れば十分良い精度となることが判明した。ただし、小さいxと大きいx領域で多少精度が落ちる問題があり、数値解法に関して更なる工夫が必要である。
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