研究概要 |
昨年度はファイバーの性能評価を行い、3種類のファイバー湾曲実験を行った.(a)輪による光損失,(b)輪の位置による光損失,(c)多重輪による光損失の測定を行った.この得られた結果からファイバーの最適湾曲半径が求められた.さらに昨年度から今年度にかけて、大きさ100x100x10(mm)のシンチレーター(SCSN-81クラレ社)にウェーブシフティング・ファイバー(Y-11クラレ社)を組み込むための対角と円形の溝をダイオード用と光電子増倍管用に4種類製作した.今年度はシンチレーション光の受光素子であるマルチアノード光電子増倍管H6568-10(4x4)の性能調査を次の項目について行った.(a)各チャンネルでの応答の一様性,(b)各チャンネル間の応答の漏れ(クロストーク),(c)各チャンネルでの応答の線形性(リニアリテイ)の測定をレーザー光を用いて行った.測定より各チャネルの応答の一様性の大きさのばらつきは少なく,その広がりは平均で10%であり,また各チャンネル間の応答の漏れは近接したチャンネルにおいても平均で5%であった.また各チャンネルの応答に対するリニアリテイを測定するため,光電子増倍管の前にNDフィルターを挿入して印加電圧に対するレーザー光子数に対する応答の変化を測定した.これは最小電離粒子がシンチレーターを通過して光子を生成し,ファイバーによって導かれる光子数に対応するためである.この測定から印加電圧-400〜-800Vにおいて光子数に対する光電子増倍管からの応答のリニアリテイがあることが確認できた.以上の測定よりシンチレーターとファイバーを組み合わせ,その読み出しをマルチアノード光電子増倍管を用いることにより分割されたシンチレーターからの信号を読み出すことが可能となった.現在,ダイオードについての実験が行われている.
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