本研究は、レンズ型シンチレータのアレイを試作し、その発光の像を検出し、放射線の通過位置を測定することをおもな研究目的としている。 (1)光路追跡シミュレーションソフトウェアを使って、レンズ型シンチレータアレイに用いるシンチレータの基本的な形状を決定した。その形状は、直径10mmの円筒形を基本としており、途中に光路を絞るためのくびれ部があ』る。そして、一端は凸レンズ状になっている。くびれ部分から放射状にレンチレーション光が出るように設計し、これをレンズによって実質的に平行光とするものである。 (2)くびれ部の直径が3mmのものと2mmのものを2本ずつ製作した。材質は、試験的にプラスチックシンチレータEJ-200を採用した。紫外光を当てて発生した光の像を見ると、2mmのものの平行度が3mmのものよりも有意に優れていることが確認された。 (3)KEKB加速器の衝突点から輻射バーバー散乱によって発生される高エネルギー光子をルミノシティ測定のためのチェレンコフカウンタ(設置済みのものと本研究で新たに製作したもの)で探った。可能性のある設置箇所としては2箇所(光子が出る橋と電子が出る場所)あることがわかった。 (4)BGO結晶を用いた直径10mm、長さ60mmくびれ部分の直径が3mmレンズ型シンチレータを製作した。当初、脆性による破損が心配されたが、少数のものを除いて工作過程や実装過程での破損は生じなかったので、くびれが3mmあれば、工作が可能であることが実証された。 (5)内部に、シンチレータ、平面鏡、フラットパネル型光電子増倍管を取付けるような暗箱を製作し、紫外光を部より当てて、光電子増倍管で検出される光子の数をカウントすることにより、スポットの明るさの分布を求めた。これは、アレイの試験器として使用できる物である。 (6)レンズ型シンチレータ5本を装着したシンチレータアレイカウンタを製作して、KEKB加速器の衝突点近くに塾置し、ガンマ線や電子の空間分布測定の試験をした。加速器の運転状況によって分布が変化することを捕らえた。
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