本年度は、引き続いて超扁平形衝突点ビームパイプの設計のための様々なスタディを行った。昨年度のスタディに基づき、ビームパイプ内側の形状を高さ1mm、幅10mm、長さ16mmとして設計を進めることにした。次に、ビームパイプの材質と、形状、厚さ等について検討した。材質については、純ベリリウムを採用した。厚さについても、500マイクロンとした。厚さについては、2mmとした。これらの設計値を元に、昨年に引き続いて測定器等のシミュレーションツールである、Geant4を利用して、幾つかの物理プロセスのシミュレーションを行った。本年度は、bクォーク対発生によるB中間子生成の事象と、その他のクォーク対発生の事象との区別が出来ないかを中心に調べた。解析対象の反応として、その他のクォーク対発生の事象が、混同しやすいと思われる、B中間子が二つの軽い荷電粒子に崩壊する反応について、調べた。CP側(B→Kpi)のバーテックスの検出精度が、超扁平形衝突点ビームパイプ使用事は、通常の半径1.5cmのビームパイプ使用時と比べて、z方向の精度(分解能)が約49マイクロンから15マイクロンへ改善されることがわかった。タグ側(B中間子の不例バーを測定する側)では、同じく103マイクロンが24マイクロンへと大きく向上することがわかった。タグ側と、CP側の崩壊位置のZ座標の差に関しては、130マイクロンが38マイクロンへと向上する。通常のクォーク対生成の場合は、Zの崩壊位置の差は0を中心に分布するので、検出精度が高ければ高いほど、通常のクォークついのイベントを抑制する事が出来る。この結果、信号雑音比において、CP側の崩壊モードによって約13から60%の向上が見られることがわかった。この結果は、2004年11月16~17日にKEKで行われた、第6回ハイルミノシティワークショップで海野が発表した。
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