研究概要 |
次世代放射光源での中核的技術と期待される、超伝導リニアックに向けた加速管の高次モード減衰法に関する研究を継続した。超伝導加速管において高次モードを強力に減衰できる方法として、放射状線路(radial transmission line)を用いた高次モード減衰法を考案した。この方法では、加速管に近いビームパイプ上に放射状線路を配置し、加速管からの高次モードをこの線路で伝搬させた上で終端のマイクロ波吸収体で減衰させる。線路がビームパイプを取り巻く配置であるため、一般的に用いられているTESLA型高次モードカップラー(ドイツDESY研究所で開発)に比べて、より強力に高次モードを減衰できることが期待できる。昨年度は9セルモデル空洞を製作したので、今年度この放射状線路のモデルを製作し、モデル空洞に取り付けて、高次モードのQ値低下を調べた。最初の結果として、セル数が1の場合で外部Q値3,000-10,000程度、セル数が9の場合で外部Q値10,000-100,000程度の結果が得られた。放射上線路を加速管からできるだけ近く配置することで、さらに外部Q値を低くできる見通しであり、そのための研究を継続中である。また、空洞の基本モードのQ値を10^8以上に保つため、放射上線路にはチョーク構造のフィルターを備える設計であり、フィルターの最適化のための検討を行っている。 また、今年度の研究成果の一部を、米国ニューポートニュースで3月19-23日に開催されたワークショップ"The 32nd Advanced ICFA Beam Dynamics Workshop on Energy Recovering Linacs(ERL2005)"で発表し、海外研究者との意見交換を行った。
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