研究概要 |
次世代放射光源での中核的技術と期待される、超伝導リニアックに向けた加速管の高次モード減衰法に関する研究を行った。超伝導加速管において高次モードを強力に減衰できる方法として放射状線路(radial transmission line)を用いた高次モード減衰法を考案した。この方法で得られる高次モードの減衰を、計算機シミュレーションおよび銅製のモデル空洞を用いた測定で調べた。予想された通り、放射線路ダンパーを空洞に近づけるほど高次モードの外部Q値は低下した。空洞とダンパー間の距離を3cmに選んだ場合、進行方向偏向(モノポール)モードの外部Q値はTM011-likeモードとTMO20-likeモードがともに約10,000であった。横方向偏向(ダイボール)モードでは、TE111-likeモードが約10,000以下、TM110-likeモードが10,000〜100,000程度であった。全体的に良好な高次モード減衰が得られた。TM110-likeモードのQ値をさらに下げるための改良を行っている。 2005年度より、次世代放射光源向けのエネルギー回収リニアック(ERL)の開発研究が、高エネルギー加速器研究機構と日本原子力研究開発機構・関西光科学研究所との共同で本格的に開始された。超伝導空洞についてもチームが編成され、本格的な開発が始められた。本研究で得られた基礎的研究成果は、このERL用超伝導空洞の開発に役立てられる。
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