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2004 年度 実績報告書

半導体微細構造におけるゼロ磁場スピン分裂の解明と量子計算機への応用

研究課題

研究課題/領域番号 15540304
研究機関北海道大学

研究代表者

土家 琢磨  北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (40262597)

キーワードスピン才差運動 / 量子井戸 / スピン・コヒーレンス長 / ドレッセルハウス機構 / ラシュバ機構 / スピンFET / InAs
研究概要

本年度は、2次元系でのスピン才差運動とそのコヒーレンスを中心に研究した。
半導体中の電子は、内部磁場に応じて才差運動を行なう。2次元系での内部磁場の要因には、結晶自体の反転非対称性に起因し、波数の3乗に比例するドレッセルハウス機構と、構造の反転非対称性に起因し、外部電場によって制御可能で波数に比例するラシュバ機構がある。またスピンのコヒーレンスは、電子の運動量散乱に伴うスピン反転による、いわゆるEY機構と、内部磁場の波数依存性による、いわゆるDP機構によって制限される。
スピン才差運動はラシュバ機構を通して制御できるが、それと同時にスピンコヒーレンスも制御できる可能性がある。量子井戸構造では、電子をz方向に閉じ込めるとすると、ドレッセルハウス機構によるスピン分裂は2次元面内波数に比例する項と、3乗に比例する項に分けられるが、波数が小さい場合には3乗の項は無視できる。このとき波数に比例する項と、ラシュバ機構のスピン分裂の大きさが同程度の場合には、スピン分裂の大きさは波数の(1-1)方向成分に比例し、(11)成分には依らなくなる。(1-1)方向の電流を考えると、電子速度とスピンの才差運動の振動数はともに波数の(1-1)成分に比例するため、スピンの回転角は(1-1)方向に電子が移動した距離で決まり、DP機構によるコヒーレンス長は、原理的には無限大になることになる。
実際には、波数の3乗に比例する項があるためコヒーレンス長が無限大になることはないが、実際にどの程度のコヒーレンス長が実現可能であるかを探ることは、大変重要である。このため、モンテカルロ・シミュレーションを行ない、InAs量子井戸においては数μmのコヒーレンス長が達成できることを明らかにした。この値はスピンFETの動作に十分な長さであり、スピンFETの実現に大きく貢献するものと考えられる。

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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