研究課題
基盤研究(C)
整数量子ホール効果のブレークダウンの臨界電流が試料線幅に対して非線形に変化し、その臨界電流値が従来観測される値に比べて1〜2桁小さい値を示す、新しいタイプの量子ホール効果のブレークダウン現象のメカニズムを明らかにすることを目指して以下の実験を行った。(1)GaAs/AlGaAs2次元電子系試料のスペーサー層の厚みが20nm程度のウエハでは、ヘリウム温度以下で、GaAsバンドギャップ光の照射前後でブレークダウン電流の線幅依存性が変化するものがある。これを用いて、ブレークダウン臨界電流および量子ホールプラトーでの伝導度の活性化エネルギーを詳しく調べた。光照射前の「従来型」のブレークダウンを示す状態に比べて、光照射後には活性化エネルギーが大幅に減少した。(2)シュブニコフ・ドハース振動の振幅解析から求めた量子易動度は光照射後に増加しており光照射によって、2次元電子系の感じるポテンシャル揺らぎの程度が減少し、ランダウ準位の先鋭化が生じているものと考えられる。このポテンシャル揺らぎの程度こそがブレークダウンの性質(線幅比例または非比例)を左右しているものと考えられる。(3)このポテンシャル揺らぎのスクリーニングは、変調ドープGaAs/AlGaAsヘテロ構造の、ドナー層で僅かに生じたキャリアによる可能性がある。本研究の結果から、量子ホール状態のブレークダウンの性質には、通常半導体の評価に用いられる「電子易動度」などのパラメータには直接現れない電子系の均一性を強く反映した情報が含まれていることが確認された。
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Proc.of 27th Int.Conf.on Physics of Semiconductors, July 26-30,2004 Flagstaff, Arizona USA (印刷中)
Int.J.Modern Phys.B 18
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Proc.27th Int.Conf.on Physics of Semiconductors, July 26-30,2004 Flagstaff, Arizona USA (In press)
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Int.J.Modern Phys.B Vol.18
Physica E Vol.22