研究課題/領域番号 |
15540313
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
物性Ⅰ
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
佐藤 仁 広島大学, 放射光科学研究センター, 助教授 (90243550)
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研究分担者 |
谷口 雅樹 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10126120)
生天目 博文 広島大学, 放射光科学研究センター, 教授 (10218050)
島田 賢也 広島大学, 放射光科学研究センター, 助教授 (10284225)
伊賀 文俊 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 助教授 (60192473)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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キーワード | Y_<1-x>Ca_xTiO_3 / 金属-絶縁体転移 / 電子相関 / ハバードバンド / 光電子分光 / 逆光電子分光 |
研究概要 |
ペロブスカイト型構造をもつY_<1-x>Ca_xTiO_3は、xの値により、Ti 3dバンドのフィリングを制御することができ、モット絶縁体YTiO_3(x=0)から金属相を経てバンド絶縁体CaTiO_3(x=1)に移行する。特にx=0.39では、約150Kで急峻な金属-絶縁体転移を起こす(高温側:絶縁体、低温側:金属)。 Y_<1-x>Ca_xTiO_3単結晶(x=0.39)について、Ti 3p-3d共鳴光電子・逆光電子分光を行い、価電子帯および伝導帯におけるTi 3d部分状態密度、すなわち、電子相関で分裂した下部・上部ハバードバンドの名残りを観測した。両者の差U_<eff>の値は、低温になるにしたがい増加することが分かった。Ti 3d電子間の相互作用Uがほとんど原子内で決まっていることを考えると、このことは、低温でTi 3dのバンド幅が広くなることを示している。 逆光電子スペクトルの帰属をすすめるために、O 1s軟x線吸収分光実験を行い、両者を比較した。その結果、逆光電子スペクトルで観測された上部ハバードバンドの低エネルギー側に、光電子スペクトルのコヒーレント部分に対応する成分が存在することが示唆された。この成分は、金属-絶縁体転移に密接に関与していると推察されるが、その確認は今後の逆光電子分光装置の高分解能化をまたねばならない。 価電子帯については数千eVの励起光を用いた光電子分光実験を行った。数十eVの励起光で測定したスペクトルに比べ、下部ハバードバンドが0.3eV程度浅い方向にシフトする。このことは、結晶内部では、表面に比べて、電子相関の効果が若干少ないことを示す。また、Ti 2p内殻スペクトルには、金属化に伴い、新たな構造が出現した。この構造は、最近La_<1-x>Sr_xMnO_3の金属相におけるMn 2p内殻スペクトルで観測されたwell screened stateに対応していると考えられる[1]。 [1]K.Horiba et al., Phys.Rev.Lett.93,236401(2004).
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