研究概要 |
(1)ビーム径0.7x1.0mmのマクロビームを用いた実験 ヘキサデカン(炭素数16の長鎖アルカン)を油相とした水中油滴型エマルション(油滴の平均粒径〜1,10,30,40マイクロメートル)にマクロビーム放射光X線をあてながら、冷却過程とその後の加熱過程における油滴の結晶化および融解挙動の経時変化を調べた。その結果、平均粒径10マイクロメートル以上の場合、バルク系で報告されている結果と同様の回転相の存在が確認されたが、〜1マイクロメートルの粒径のものでは、回転相は見られなかった。また、油滴に親油性界面活性剤を添加した場合、全ての粒子径において回転相が確認された。これまでの我々の研究報告をもとに考えると、親油性界面活性剤が油水界面において鋳型の役割をして、界面不均一核形成を引き起こし、回転相が出現しやすくなったと考えられる。 (2)ビーム径5.0マイクロメートルのマイクロビームを用いた実験 油滴をヘキサデカン(炭素数16の長鎖アルカン)を油相とした水中油滴型エマルション(油滴の平均粒径30,40マイクロメートル)にマイクロビーム放射光X線(ビームサイズ5x5マイクロメートル)をあてながら、結晶化後の油滴粒子一つずつの結晶の様子を調べた。その結果、油滴の端にビームを当てた場合には、油滴の中央を貫くようにビームを当てた場合に比較して、回転相に対応する回折ピークが新たに現われた。このことより、回転相は界面付近より現われており、予想通り油水界面からの界面不均一核形成により回転相が出現することが示唆された。現在、この現象の再現性を確認中である。
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