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2004 年度 実績報告書

強相関電子系の新奇な低エネルギー状態の探索

研究課題

研究課題/領域番号 15540333
研究機関東京大学

研究代表者

小形 正男  東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (60185501)

研究分担者 横山 寿敏  東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (60212304)
キーワード高温超伝導 / 変分モンテカルロ法 / 時間反転対称性を破る超伝導 / Gutzwiller近似 / 凝集エネルギー
研究概要

本研究では高温超伝導のモデルに対する新奇な状態を、変分モンテカルロ法という数値的な手法と、解析的な手法を組み合わせて調べることを計画した。とくに単純な平均場近似や弱相関領域での摂動論では取り入れることのできない強相関の効果を、十分考慮することを主要な目的とした。(1)交替フラックス状態や、反強磁性状態がエネルギー的に本当に安定かどうか、または有限温度の揺らぎとして考慮するに値するような状態であるかという問題、および(2)超伝導状態になったときの凝縮エネルギーの問題を数値的に調べることが目的である。
本研究は、まず数値的な計算のためのプログラム開発を行った。それとともに、解析的な定式化についても平行して行なった。解析的な方法に関しては、単純な平均場近似では強相関の効果が取り入れられるかどうか微妙な問題である。しかし、Gutzwiller近似と呼ばれる方法を用いると、強相関の効果をある程度取り入れることができると考えられる。本研究では、この近似のもとでフラストレーションのあるモデルに関して基底状態の性質を調べ、時間対称性が破れた超伝導状態が実現する可能性があることを示した。この成果を踏まえ、変分モンテカルロ計算によって確かにこの状態が安定化することを示すことに成功した。
また、変分モンテカルロ法をハバードモデルに対して行い、反強磁性状態と超伝導状態のエネルギーの比較によって相図を決定した。また超伝導状態になったときの凝縮エネルギーを評価し、量子モンテカルロ法で今まで超伝導が見出されなかった原因を明らかにした。さらに、この結果と解析的な方法との比較を行い、フレックス近似においても同様の結果が得られることを示した。このことは凝縮エネルギーに関して定性的に正しい結果であることを示している。また最近提案されている交替フラックス状態に関しては、変分モンテカルロ法を用いてエネルギー的に本当に安定であるかどうかについて検討を行っている。さらに、実験との比較を行う上で重要であるようなパラメータ依存性について調べ、次近接ホッピング項が超伝導安定に重要であることを明らかにした。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2004

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] Variational Monte Carlo Studies of Pairing Symmetry for the t-J Model on a Triangular Lattice2004

    • 著者名/発表者名
      T.Watanabe, H.Yokoyama, Y.Tanaka, J.Inoue, M.Ogata
    • 雑誌名

      J.Phys.Soc.Japan 73

      ページ: 3404-3412

  • [雑誌論文] Crossover of Superconducting Properties and Kinetic-Energy Gain in Two-Dimensional Hubbard Model2004

    • 著者名/発表者名
      H.Yokoyama, Y.Tanaka, M.Ogata, H.Tsuchiura
    • 雑誌名

      J.Phys.Soc.Japan 73

      ページ: 1119-1122

URL: 

公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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