研究課題
本研究では、低温や圧力・磁場といった極端条件下で現れる物性を結晶構造の立場から微視的に明らかにすることを目的として、主にX線散乱により研究を行った。特に、遷移金属酸化物や希土類化合物を中心として、電荷や軌道の自由度がその物性変化に大きく寄与している現象について詳しく調べた。主な結果は以下のとおりである。・電荷秩序を示すFe_2BO_4について、電荷秩序による結晶構造の変化に着目して、シンクロトロンを用いたX線粉末回折により構造変化を調べた。その結果、従来考えられてきた電荷整列相転移温度以外の温度でも構造に変化が現れることを示唆する結果を得た。他の報告と比較すると、この変化は電荷の部分秩序化に伴っておこっている可能性がある。・二次元的な結晶構造を持つ希土類と遷移金属からなる物質について、低温や磁場や圧力といった極端条件下においてX線・電気抵抗率・磁化の測定を行い、低温で金属非金属転移が起こること、その原因が電荷密度の変調にあることを示した。・干渉性の良いシンクロトロン放射光を用いた強度ゆらぎ分光実験の実現に向けて研究開発を行った。現在のところスペックルの観測には成功しているが、強度が微弱なため、ペロフスカイト型マンガン酸化物の電荷や軌道の短距離相関のゆらぎの観測には至っていない。・希土類化合物や低次元磁性体について、超伝導マグネットを用いた強磁場中での振る舞いをシンクロトロン放射光を用いたX線回折により調べた。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (4件)
Journal of the Physical Society of Japan 74
ページ: 2201-2204
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