強磁性金属相を有する層状ペロブスカイト型マンガン酸化物(La_<2-2x>Sr_<1+2x>Mn_2O_7 x=0.38)におけるパルスレーザー照射時の時間分解反射率変化の温度依存性を強磁性金属-常磁性絶縁体転移温度を含む温度範囲で測定した。MnO_2伝導面内におけるキャリアのエネルギー緩和過程は、1ps程度の時定数を示す電子-格子相互作用による速い緩和過程、1ns程度の遅い緩和過程、10ps程度の緩和過程、という3成分で表されることを見出した。遅い緩和過程は連続光による光照射効果の温度依存性との比較から、光照射によるサンプルが加熱される熱的な効果であることを示した。一方、10ps程度の緩和時間を持つ緩和過程は、報告例が少ない時間スケールを持つ応答成分であり、その温度依存性からこの成分は巨大磁気抵抗効果の要因の一つとされている動的Jahn-Teller効果による短距離秩序を反映するものであることを示唆する結果が得られた。 また、層状ペロブスカイト型マンガン酸化物(La_<2-2x>Sr<1+2x>Mn_2O_7 x=0.36)におけるホール測定を行った。その結果、スピングラス相が存在する50K以下の温度において、正常ホール抵抗、異常ホール抵抗の増加を観測した。異常ホール効果は、微視的な不均一性に起因すると考えられる。
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