研究課題/領域番号 |
15540353
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研究機関 | 群馬工業高等専門学校 |
研究代表者 |
五十嵐 睦夫 群馬工業高等専門学校, 一般教科(自然科学系), 助教授 (60259819)
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研究分担者 |
小平 哲也 (独)産業技術総合研究所, 界面ナノアーキテクトニクス研究センター, 主任研究員 (40356994)
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キーワード | ゼオライト / アルカリ金属 / カリウム / LTA / ZK-4 / NMR / ナイトシフト |
研究概要 |
カリウムを吸着させたLTA型ゼオライトは、その吸着量に応じて磁性的振舞いが変化する。本研究では、その要因解明に資することを目的として、^<27>Al-NMRのスペクトル精査を行っている。本来のLTAではSi原子とAl原子の含有比が1であるが、合成法を工夫することによりSiの含有量が多くなる。そのような試料についての検討により、本来のLTAの性格がより鮮明になってくるものと期待される。 そんな期待の中、Si/Al=1.5の試料に着目し、ゼオライトの細孔(ケージ)におけるポテンシャルを浅くした場合の効果を検討した。その結果、^<27>Al-NMRのスペクトルはカリウムの吸着量増加に伴って高周波数側へシフトする成分を含んだ非対称な形状となり、スペクトルの重心は吸着量増加に伴って明らかに高周波数側へ移動することがわかった。 以上の状況を検討するため、シフト成分のNMR特性を検討した。その結果、スピンエコー観測時のパルス間隔を増すと、シフト成分の方が相対的に速く減衰していくことがわかった。更に、スピンエコーのフーリエ変換によるスペクトルへの変換処理において、エコーのピーク部分近傍で広周波数範囲に相当する部分を処理から除くと、スペクトルはアルカリ金属無吸着時と同様にほとんどシフトしない成分のみになることがわかった。以上の検討から、この系においてアルカリ金属吸着に伴って現れる新たなシフト成分は、T_2(スピンスピン緩和時間)が短く、T_2^*(線幅の逆数に対応)が短い成分である。こういった特徴は、磁性を担う電子の波動関数が原子核と重なり合いをもつことによるナイトシフト成分に期待されるものであり、電子系と核との相互作用を反映したものであると結論された。 以上の研究成果は、層間化合物国際会議にて報告するに至った。その内容は、論文として発表する許可を得た段階である。今後はさらにそのスペクトルを定量的に分析し、磁化率との比較による微細結合定数の評価へ結びつけていく予定である。また、従来取り組んできたT_2分布に関する研究成果についても、引き続き発表に向けて努力していく。
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