研究概要 |
(1)確率力学モデルによるランダム電場下の電気流体力学的不安定性に関する研究 電極板に平行に配置されたネマティック液晶に2値雑音電場を印加すると,雑音強度が大きいと液晶分子の平行配置は不安定化し,対流構造が間欠的に発生することがドイツのグループによって見出されている。この現象に対して本研究では平行配置からのずれの増大率が確率的な変調項をもつSwift-Hohenbergモデルを用いて平行配置の不安定化に伴なう間欠的対流の統計性を詳しく調べた。その結果,統計法則は,実験で見出されているオンオフ間欠性と一致することを見出した。さらにモデルを用いて熱雑音の効果を詳しく調べ,対流パターン変化の動的ふるまいに関する新しい統計法則を見出した。 (2)強周期振動磁場下の異方的XYスピン系のダイナミクスに関する研究 本研究で対象とするモデルは異方性の強度により4つのタイプの運動に分類することができる。この中で,Ising型運動とXY型運動の時間的な対称性の破れた運動ではNeel壁とBloch壁をもつ運動が可能であることを見出した。これらの場合に対しNeel壁の線形安定性調べることにより,Neel壁およびBloch壁の存在領域を理論的および実験的に決定した。異方性の違いにより2つの壁が安定に存在領域は大きく変化し得ることを見出した。また,Neel壁が消失しBloch壁が発生する転移点近傍で,Bloch壁の強度は転移点からのずれの(1/2)乗で増大することを導き,実験と一致する結果を得た。さらに,Neel壁およびBloch壁の運動形態を計算機実験により明らかにした。
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