研究課題/領域番号 |
15540374
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
岡部 豊 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (60125515)
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研究分担者 |
大塚 博巳 東京都立大学, 理学研究科, 助手 (10254145)
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キーワード | ポッツモデル / 相転移 / XYモデル / KT転移 / クロックモデル / reweighting法 / 非平衡緩和 |
研究概要 |
物性物理学の研究の発展において、計算機シミュレーションの果す役割が一層増してきているが、スローダイナミックスの問題がしばしばシミュレーションを困難にしており、これを克服する手法を提案することが急務である。我々は、確率変動クラスターアルゴリズムなどの提案をしてきたが、新しいモンテカルロアルゴリズムを用いて、困難とされてきたランダム・量子スピン系の解明を行うことに本研究の目的がある。 本年度は第一に、正方格子上の反強磁性3状態ポッツモデルに交替分極場の加わった系の相転移を調べた。数値的に転送行列を扱い、2つの相転移を確認した。それぞれ、強磁性3状態ポッツモデルとイジングモデルのユニバーサリティークラスに属する。ガウス固定点からのくりこみ群の流れ、場の理論による相転移の扱いについて論じた。第二に、Kosterlitz-Thouless (KT)転移を示す系への希釈の効果を調べた。具体的に2次元XYモデルと離散化したクロックモデルを取り扱った。浸透しきい値で連続的にKT転移が0になること、クロックモデルの場合には、低温で秩序相の現れる第二のKT転移があるが、その転移点も希釈により浸透しきい値で0となること、相関の減衰を表す指数ηが希釈によらず、KT転移に共通の値になることなどを示した。第三に、非平衡過程に対するreweighting法を開発した。平衡系のシミュレーション手法として、ある温度のシミュレーションを行い、ボルツマン重みの付け替えで他の温度の物理量を計算するreweighting法が確立しているが、本研究では、時間依存する非平衡系に拡張した。統計学で用いられるSequential Importance Sampling法に基づいて定式化し、イジングモデルの非平衡緩和の解析に応用した。有限サイズスケーリングの解析と合わせて、1つの温度における非平衡緩和の測定で、転移温度を決定すると共に、動的臨界指数zを効率よく決定することに成功した。
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