イオン強度や温度の変化によってコイルーグロビュール(CG)転移を起こすポリN-イソプロピルアクリルアミド(PNIPAM)にルテニウムビピリジン錯体(Ru(bpy)_3^<2+>)を共重合し、BZ反応液中で周期的にCG転移を繰り返すRu(bpy)_3^<2+>-co-PNIPA分子を創製した。1分子からミクロ集合体への階層構造の構築を目指して、Ru(bpy)_3^<2+>-co-PNIPAMとメチレンビスアクリルアミド架橋剤を含んだ水溶液中で、レーザートラッピングによる高分子微小集合体(ゲル)の形成を試みたところ、約5μm程度の集合体が形成され、自励的な体積振動が観測された。同じレーザー強度でも、Ru(bpy)_3^<2+>-co-PNIPAMは、PNIPAMと比べて大きな集合体を構築することが分かった。これに付随して、レーザー光の焦点を制御することにより、10ミクロンサイズの台型3次元ゲルを作ることに成功した。 自律型微小ゲルを要素とした多元要素系の確率共鳴を通して、自己組織化の階層性を調べた。BZ反応特有の光照射によるホップ分岐を誘起し、興奮状態の4要素を鎖状に結合し、要素間の信号の伝播が外部ノイズの印加によって如何に高められるかを調べた。ノイズは要素1のみに印加された。コヒーレンス度R_Cが、或るノイズ強度で最適化されることに加えて、素子1で励起された信号は、素子2、3を経て4に伝播するにつれてR_Cが高くなった、これは、Noise Enhanced Propagationが誘起されたことを意味している。素子間では、1:1、1:2などの相互引き込みも観測された。修正型オレゴネータモデルを用いて数値シミュレーションを行ない、観測結果を再現した。
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