研究概要 |
平成16年度は、薄膜上のAxial Next-Nearest-Neighbor Ising(ANNNI) modelおよび薄膜上のANNNI modelにおいて現れる部分無秩序状態に関連した相互作用交代型ANNNI modelに対して、モンテカルロシミュレーションを用いた数値計算を行った. 1)薄膜上のANNNI model 積層正方格子上において双1次交換相互作用のみから構成されるS=1 ANNNIモデル([2-2]モデル)および競合する次隣接相互作用として3サイト4スピン相互作用を採用したS=1 ANNNIモデル([3-4]モデル)に対してメトロポリス法に基づいたモンテカルロシミュレーションを行った.[2-2]モデルにおいてはS=1/2 ANNNIモデルと定性的に同じ結果が得られた.[3-4]モデルにおいては3サイト4スピン相互作用の導入による磁気相図上での強磁性相の拡大が見られ,4本の相転移線が1点に収束する点の存在を示唆している.さらに比熱の解析より4本の相転移線は臨界指数が2次元Isingモデルユニバーサリティに属する2次相転移でありことから4重臨界点の存在を示唆する結果が得られた. 2)相互作用交代型ANNNI model 平成15年度に引き続き相互作用交代型ANNNI modelの非平衡緩和法を用いたモンテカルロシミュレーションを行った.有限サイズスケーリングに基づき,転移温度・臨界指数を精度良く決定し,ユニバーサリティの検証を行った.このモデルにおいては通常のユニバーサリティは見られず,ウィークユニバーサリティの成立を示唆する結果が得られた.
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