研究課題/領域番号 |
15540387
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
金井 保之 独立行政法人理化学研究所, 山崎原子物理研究室, 先任研究員 (00177487)
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研究分担者 |
中井 陽一 独立行政法人理化学研究所, 山崎原子物理研究室, 先任研究員 (30260194)
岩井 良夫 独立行政法人理化学研究所, 山崎原子物理研究室, 基礎科学特別研究員 (00391871)
山崎 泰規 国立大学法人東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (30114903)
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キーワード | マイクロキャピラリー / 中空イオン / Auger電子 / ビームガイド効果 |
研究概要 |
1.真空中に取り出された中空イオンから放出されるAuger電子を測定するための装置の整備を昨年度に引き続き行った。具体的には、(1)電子分光器を真空槽に取り付け、真空排気、電圧の印加等の基本的な試験、(2)電子分光器の制御及びデータ解析をWINDOWS上で可能とするためのプログラムの開発を行った。 2.Auger電子測定を効果的に行うための予備測定として、昨年度に引き続き、種々の価数のArイオンとNイオンをNiマイクロキャピラリー薄膜に入射させ、イオンとキャピラリー内壁面との相互作用で生成された中空イオンの脱励起過程で放出されるX線と最終イオン価数との同時測定および、高分解能X線分光器によるX線放出寿命測定を行った。 3.Niマイクロキャピラリー表面からの多電子捕獲により中空原子が生成されるが、標的を絶縁体とした場合に何が起こるかを確認するため、polyethylen terephthalate(PET)薄膜に直径200nm程度の多くの穴(マイクロキャピラリー)をあけた試料にNe^<7+>イオンを照射し、イオンの通過率などを測定した。イオン電流は0.1nA程度で実験を行った。その結果、PET製マイクロキャピラリーではイオンビームがキャピラリー軸方向に曲げられる現象、いわゆるキャピラリーによるビームガイド効果が観測された。これは、大量のイオンビームによりキャピラリー内壁面が帯電し、帯電後にやってきたイオンがこの帯電表面で追い返され固体表面との衝突を起こさずにキャピラリー中を通過していると考えられる。絶縁体マイクロキャピラリーを標的として用い、大電流(nA程度)で実験を行う場合には、金属キャピラリーとは質的に異なる現象がキャピラリー内で起こっている。
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