研究課題
本年は研究計画の2年目であり、順調に研究を遂行し、散逸粒子系の動力学の理解が進んだ。まずマクロ粒子の非弾性衝突において斜め衝突であれば普遍的にはねかえり係数が1を越すことを見出しただけでなく、そのメカニズムを明らかにし論文は特筆すべき成果であり、Physical Review Focusにも紹介された。非弾性衝突に関してはレビュー論文も出版し、更に散逸を入れないでヘルツの接触理論及び準静的衝突を再現することに成功し、現在論文を執筆中である。また東大の佐野教授と共同で宇宙フォーラムに研究助成申請を行い微小重力環境下での粉体ガスの研究を実験家と協力して開始したことも大きな進歩である。その準備段階として地上実験に対応する系のシミュレーションを行い、どのようなセットアップを用いれば粉体ガスの振動定常状態と自由冷却過程を実現できるのかを明らかにした、また振動を加えて定常状態になった際に粒子の速度分布が指数分布に従うこと、それはクーロン摩擦の入ったランジュバン方程式で理解できることを示した論文を出版している。更にそのランジュバン方程式に外場が加わった際の定常解を解析的に求めて、その性質を明らかにした論文も出版を受理されている。また振動を止めた後の冷却過程においてどのような性質を持つのかをシミュレーションから明らかにした論文も受理されている。その他、長い間、懸案であった粉体流、交通流におけるパワースペクトルのべき則を理論的に明らかにした論文も最近投稿した。その他、ASEP(非対称単純排他過程)と呼ばれる確率モデルを2つのレーンを運動するモデルに拡張し、そこで生じたキンクが2つのレーンで同期すること、それにも拘わらず各レーンに存在する粒子数は異なることが可能であることを示した論文も出版を受理されている。更にリファレンスとして、散逸のない気体の動力学に関する論文も出版を受理されている。
すべて 2005 2004
すべて 雑誌論文 (10件)
Physica D (印刷中)
Transport Theory and Statistical Physics (印刷中)
Journal of Physics A : Mathematical and General 38(印刷中)
Powders and Grains 2005(edited by H.J.Herrmann et al.)(Balkema publ.) (印刷中)
Physical Review Letters 93
ページ: 154301
Phase Transitions 77
ページ: 889-909
Journal of the Physical Society of Japan 73
ページ: 2037-2040
Slow Dynamics in Complex Systems(edited by M.Tokuyama)(AIP Conference Proceedings, Melville, NY) vol.708
ページ: 156-157
ページ: 132-133