研究課題
1)反応遷移における統計性の起源(摂動に対して滑らかにのみ変化し、急に消失することはない)構造安定な不変多様体がどのような状況下で崩壊し、反応遷移における真の確率過程(=反応選択性の消失)が出現するのか、については殆ど分かっていない。部分自由度に渡ってのみnormalizeする部分標準形理論を新たに導入し、活性化障壁よりも高いエネルギー領域においてNHIMの熱浴自由度間の共鳴がNHIMの構造安定性に与える影響を解析し、遷移過程が真に熱的になるメカニズムを解明した(投稿中)。2)遷移状態の分岐現象遷移状態の分岐現象は2自由度系においては1980年代後半に解明されているが、20年以上経過した現在においても多自由度系における遷移状態の分岐現象は解明されていない。非共線型H_2+H→H+H_2異性化反応を取り上げ、部分標準形理論によるNHIMの分岐解析を通して、多自由度系における遷移状態の分岐、遷移状態の同定可能性を考察した(投稿準備中)。3)O(^1D)+N_2O→NO+NO気相反応における短寿命反応経路における2つのNO分子間の高速エネルギー交換O(^1D)+N_2O→NO+NO反応は(N_2Oの一部としてすでに存在している)old NO(最初は低振動励起状態)と(新たに生成される)new NO(最初は高振動励起状態)が、極めて短い寿命(〜100fs)の中間体を経て生成系に至るあいだに高速エネルギー交換が行われ、その結果、終状態においてはold NOとnew NOの振動分布がほぼ同程度になる「通常の常識と異なる」化学反応系である。その相空間構造を解析し、そのメカニズムを明らかにした(投稿準備中)。このほか、一分子時系列情報から背後に潜む状態空間の幾何構造を評価する手法の開発、多次元エネルギー地形における構造多様性の尺度の開発も行った。
すべて 2006 2005
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Few-Body Systems (印刷中)(未定)
Journal of Laser Physics (未定)
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