研究概要 |
細胞膜は脂質やコレステロール,タンパク質などによって構成されている。最近の研究によって,細胞膜中ではこれらの物質が不均一に分布しており,「ラフト」と呼ばれる動的ドメインを形成していることが明らかになってきた。このドメインは,主に飽和脂質とコレステロールで形成されている。ラフト構造は,細胞内での物質輸送や情報伝達に関係していると考えられている。本研究では,細胞膜中のラフト構造の形成要因を物理的に理解することを目的とした。我々は飽和脂質+不飽和脂質系および飽和脂質+コレステロール系の現象論的モデルを考案した。そこでは膜内相分離と炭化水素鎖の構造相転移が重要な役割を果たす。上記の二つの系においては,二つの自由度の結合が異なることが重要である。特に脂質+コレステロール系においてはコレステロールが外場の役割を果たすことを明らかにした。我々の得た相図は実験のものと大変よく一致している。さらに,三成分系の相図についても考案を行なった。
|