研究概要 |
東北大学,気象庁,Hi-netの観測波形かの中から,内陸の浅発地震を選び出して,本研究費補助金で購入したPCに波形データベースを構築する作業を開始した.現在までに収録できた地震数は,約1000個である.今後もこの作業は継続していく予定である.地震波形データのデータ容量は膨大なものであり,それらのデータを効率的に解析するための手法を検討している.波形の編集作業と平行して,震源の再決定を実施して,高精度の震源位置を決定している.この作業は,反射体の位置決定の精度に影響を与えるため,既存の験測データの精度を考慮しつつ行っている.その結果,震源位置は1km以下の精度で決定することが可能となった. データベース化した地震波形を,P波の着震時刻を基準として,観測点方位の範囲毎に震央距離の順序で並べて表示させることにより,反射波の検出を行っている.従来からの方法と比較すると,今回の波形データに収録した観測点数が多いため,限られた観測点方位の範囲内の波形のみを験測しているため,反射波の同定はより間単になり,その験測精度も向上させることが可能となった.これらの反射波の走時データと直達S波の走時データの時間差を用いて,反射面の位置を検定するためのインバージョン・プログラムを開発中である.現時点では,鏡像観測点法を用いて反射点の位置を推定した結果を発表しているが,開発中のインバージョン・プログラムが完成すれば,より信頼度の高い反射体の空間分布が得られると考えている. 現時点で得られた反射体の空間分布は,内陸の浅発地震の地震発生層の下限の深さと非常に強い相関を持っていることが明らかとなっており,第0近似としては,地殻内部の温度分布が内陸地震の発生と地震波反射体の深さ分布を規定していると考えられる.
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