研究概要 |
本研究の目的は,地球惑星流体核の渦拡散率を見積もり,モデル化するために,MHD乱流の直接数値計算を実施し,その計算結果を利用して渦拡散テンソルをモデル化することである.現実の流体核の分子拡散率に対応するような数値計算を実施するためには,非常に小規模な場に対する解像度が要求される.したがって,計算領域を分割し,大容量メモリを持つ高速並列計算システムの各CPUに分割された領域を割り当てることによって並列計算を実施した.前年度の研究で得られた成果をドイツのGarmisch-Partenkirchenで開催された第9回SEDI(Study of the Earth's Deep Interior)シンポジウムで発表した.本研究に密接に関係する地球惑星ダイナモを取り扱う研究者が世界各国から参加しており,本研究の内容や今後の方針を議論することができた.特に,サブグリッド・スケール(SGS)における物理過程のモデル化の重要性を再認識した.スケール相似則を使用してSGSが関与する項の影響を推定する方法を求めた.MHD乱流のラージ・エディ・シミュレーションにその方法を取り入れ,直接数値計算の結果と比較することにより,SGSモデルの妥当性を確かめた.乱流であるため,空間構造の相関係数はすぐに減少してしまう.しかしながら,時間的・空間的に平均された乱流拡散は,SGSモデルを取り入れることによって,直接数値計算の結果に近づくことがわかった.また,数値計算結果の視覚化も重要である.3次元的に時間変化する磁場や速度場をMESAのライブラリを使用して立体的に描くコードを開発した.
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