対流圏から熱圏上部までを含む大気大循環モデルを開発し、中間圏から熱圏における一日潮汐波のふるまいについて調べた。中間圏・熱圏における一日潮汐波の振幅が、17-18日や25日周期で変動しており、その成因について数値モデルデータを詳細に解析して調べてみた。一般に、中間圏・熱圏下部における一日潮汐波は、対流圏での水蒸気や雲、成層圏でのオゾンが太陽放射を吸収することにより励起され、鉛直上向きに伝播したものである。したがって、中間圏・熱圏の一日潮汐波に現れた変動と、対流圏における大気大循環変動との関係に注目して解析を行った。その結果、対流圏熱帯域の大気大循環変動により、水蒸気・雲の空間分布が時間変化することに伴って・励起される一日潮汐波の振幅が影響を受け、その一日潮汐波の変動が鉛直上向きに伝播したことが原因と考えられることがわかった。さらに、一日潮汐波が中間圏上部から熱圏下部の領域で砕波により、東西平均流に及ぼす影響についても定量的解析を行った。また、ケルビン波や混合ロスビー重力波についても予備的な解析を行った。 さらに、成層圏上部から中間圏界面の低緯度域に存在する半年周期振動について、大気大循環モデルを用いて成因を調べた。特に、成層圏下部での準2年振動により成層圏・中間圏の半年周期振動がどのような影響を受けるかに注目して解析を行った。その結果、対流圏から成層圏・中間圏に伝播する重力波によって乗じる重力波抗力が、準2年振動に伴う東西風の変動により大きく影響を受けることがわかった。この重力波抗力の変動により、成層圏・中間圏での半年周期振動の振幅に年々変動を生じさせうることがわかった。
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