研究概要 |
昨年度開発した,対流圏から熱圏上部までを含む大気大循環モデルを用いて,中間圏から熱圏における大気潮汐波のふるまいについて研究を行った。昨年度は,低緯度域における潮汐波に注目して解析を行ったので,本年度は,中・高緯度域について解析を行った。中・高緯度域においては,一日潮汐波の日々変動より半日潮汐波の日々変動の方が顕著であった。特に,中間圏・熱圏における半日潮汐波の振幅が,10日,17-18日や21-25日周期で変動していることが明らかとなった。その成因について数値モデルデータを用いて,中間圏・熱圏の半日潮汐波に現れた変動と,対流圏における大気大循環変動および成層圏における変動との関係に注目して解析を行った。その結果,成層圏におけるオゾン変動が中間圏・熱圏の半日潮汐波の日々変動に及ぼす影響は少なく,むしろ対流圏における大気大循環変動に伴う水蒸気・雲の空間分布が時間変化による影響を強く受けている可能性が示唆された。 さらに,中間圏界面の低緯度域に存在する東西平均東西風の季節内振動について,大気大循環モデルを用いて成因を調べた。昨年度での予備的な解析により,一日潮汐波やケルビン波の重要性が明らかになっていた。そこで,更に詳細な解析を行ったところ,一日潮汐波やケルビン波の振幅も季節内変動している事が明らかとなった。これらの波動が砕波する事により生じる平均流加速量について見積りを行った。その結果,一日潮汐波とケルビン波の砕波による平均流加速により,東西平均東西風の季節内振動が生じることが明らかとなった。
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