研究概要 |
対流圏から熱圏上部までを含む大気大循環モデルを開発し,中間圏から熱圏における一日潮汐波や半日潮汐波の日々変動(20-60日周期)について調べた。例えば,中間圏・熱圏における一日潮汐波の振幅が,17-18日や25日周期で変動しており,その成因について数値モデルデータを詳細に解析して調べてみた。その結果,対流圏熱帯域の大気大循環変動により,水蒸気・雲の空間分布が時間変化することに伴って,励起される一日潮汐波の振幅が影響を受け,その一日潮汐波の変動が鉛直上向きに伝播したことが原因と考えられることがわかった。 中間圏界面の低緯度域に存在する東西平均東西風の季節内振動(20-100日周期)について,大気大循環モデルを用いて成因を調べた。解析の結果,一日潮汐波やケルビン波の振幅も季節内変動している事が明らかとなった。これらの波動が砕波する事により生じる平均流加速量により,東西平均東西風の季節内振動が生じる事が明らかとなった。一日潮汐波に関しては,太陽同期成分のみならず太陽非同期成分も重要な役割を演じている事がわかった。また,一日潮汐波やケルビン波の振幅の季節内変動は,これらの波の励起源である対流圏熱帯域の大気大循環変動(もしくは積雲対流活動の変動)と密接に関連している事が明らかとなった。 成層圏上部から中間圏界面の低緯度域に存在する半年周期振動について,大気大循環モデルを用いて成因を調べた。対流圏から成層圏・中間圏に伝播する重力波によって乗じる重力波抗力が、成層圏下部での準2年振動に伴う東西風の変動により大きく影響を受けることがわかった。この重力波抗力の変動により、成層圏・中間圏での半年周期振動の振幅に年々変動を生じさせうることがわかった。
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