研究概要 |
東シナ海から日本海への淡水輸送の変動を把握するために、対馬海峡に水温・塩分計を係留する。本年度は、そのための機器(水温・塩分計)を購入し、現場での性能確認を行った。性能テストは、平成15年11月25日〜12月5日に、分担者の森本が水産大学校の練習船に乗船し、日本海および対馬海峡域において行った。テストの結果、良好な成績が得られたので、今年度中に下関沖の蓋井島に係留できるよう、現在、当該漁業協同組合と折衝中である。 気象庁より提供された外国気象資料より、長江流域の3地点(Nangjing, Yichang, Hankow)における1982〜2003年の降水量データを抽出し、その季節・経年変動について調査するとともに、長江流量との関連について調べた。流域降水量は、一般的には夏季に多く、冬季に少ないという季節変動を示すが、経年的な変動が大きく、しばしば一ヶ月の間に平均的な年間降水量を上回るような降水があったりするので、解析に当たっては工夫が必要であることがわかった。長江流量との比較については、流量の資料が限られているため明瞭な関係を見出すことは難しいが、流域降水量と概ね正の相関があることが示された。 対馬海峡域での海況変動については、福岡県水産試験場が毎月行っている定線観測資料により、海面下10m深における水温・塩分変動について調査中である。詳しい解析結果はまだ出ていないが、イベント的に極端に低塩分になる時期が見いだされ、長江での流域降水量との関連が示唆された。 日本海のより広域な表層塩分に関する情報を収集するために、平成15年12月11日に、舞鶴にて行われた第58回日本海海洋調査技術連絡会議に出席した。さらに、韓国沿岸での情報を収集する目的で、平成16年3月1〜4日にはソウル大学、および韓国海洋研究所を訪問し、本研究の紹介・協力要請を行った。
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