研究概要 |
波(うねり)と吹送流の間の相互作用の特徴を捉える実験研究を風洞水槽を用いて行った。造波機の波の周期=1秒、波形勾配をak=0.05、風速を7.5m/sに固定し、風に直交する水槽の鉛直断面内で流速の断面分布の詳細を2成分レーザー・ドップラー流速計を用いて計測した。その結果、造波機で発生した波により、風で水面下に発生する吹送流とその帰還流からなる主循環流の流速と乱流構造を制御できる実験事実を見つけた。 (1)波向きが風と同じ向きのケースでは、上層の吹送流と下層の帰還流が混合し、主循環流を著しく減速した。他方、平均流速の鉛直成分は、水槽の中央における上昇流と側壁付近の下降流からなるLangmuir循環流の強さが、風のみのケースと比べて若干強くなった。このケースでは、Langmuir循環流の強化により混合作用が強まるため上下層の流れが混合し、主循環流を減速すると考えられる。 (2)次に、波向きが風と逆向するケースでは、逆に吹送流も帰還流も強化され強い鉛直シアーと水平シアーからなる流速構造が形成された。他方、平均流速の鉛直成分は幾分弱くなり、Langmuir循環流の減衰が確認された。 (3)(1)と(2)の主循環流に関する実験結果は、水槽内に存在する2次流れ(Secondary flow)の強さの変化と密接に関連する事を示し、しかもLangmuir循環流のCraik-Leibovich(CL2)理論(Leibovich,1983)の予測と総体的には矛盾しない。従って、CL2理論で実験結果を定性的に説明できると考え、波(うねり)と吹送流の間の相互作用の物理機構を明らかにする事を考慮中である。
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