風速をほぼ一定に固定して、熱線風速計とLaser-Doppler流速計による計測により、平均流速の2成分(水平成分、鉛直成分)と水面上と水面下のReynolds応力の計測を行った。次の3ケースで実験を行った。 (1)風のみのケース(Pure wind-wave case ; PW)、 (2)風と同じ向きに造波機による波を加えたケース(Wind-following case ; FS)、 (3)風と逆向きに造波機による波を加えたケース(Wind-opposing case ; OS) 風波が発生する流速場に、造波機で正弦波状の波を与え、波の効果を調べた。主循環流と2次循環流に大きな影響を与え、基本的な流速場が劇的に変化する事を見つけた。 水平流速成分の吹送流はケースPWを基準として、ケースOSで約1.4倍に増し、ケースFSで約1/3に減少した。その原因は波の有限振幅の非線形効果によると思われる。 水面上の気流側のReynolds応力には、3ケースの間で大きな変化はなかったが、水側のReynolds応力はケース(PW)では気流側のそれにほぼ等しく、ケースFSでは波面下で著しく減少し、ケースOSでは気流側のそれよりも若干増加した。この様に、造波機による波を風波の場に加えると摩擦応力の連続性は水面の上下で成立しなくなり、吹送流の強さに多大な影響を与える事が判明した。造波機による波の成長・減衰と関連して水側のReynolds応力が変化するようである。 次に、本研究の主題である、風速に直交する一鉛直断面内の2次循環流(Langmuir循環流)をCraik-Leibovich(CL2)理論と比較した。波は正弦波を与えているので、実験結果はCL2理論と比較可能である。水槽幅と同じ程度の横スケールを持つ、鉛直上向きの渦度成分(ω_z)と風向に平行な渦度成分(ω_x)を計測データから求め、CL2理論の予測と比較した所、定性的に理論を支持する実験結果を得た。
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