サブストームシミュレーションの研究

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 15540429
• 研究機関: 九州大学
• 研究代表者: 田中 高史 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (70346766)
• キーワード: 磁気圏対流 / 複合系 / 磁気嵐急始現象 / 有限体積TVDスキーム

研究概要

サブストーム発生のための基本的エネルギー供給は、磁気圏対流にあるので、これを解明することがまず必要である。今年度の研究結果では、シミュレーションによって磁気圏対流の力学構造を解明し、閉じた磁気圏と開いた磁気圏の関係を明らかにすることが出来た。開いた磁気圏では、太陽風からのマックスウェルストレスで駆動される磁気圏中の対流によって、チャップマン-フェラーロ電流が仕事をし、カスプに内部エネルギーが蓄積される。その内部エネルギーをもとに定速対流がダイナモ作用を生じ、発生した電磁エネルギーは沿磁力線電流として電離圏に供給されて、電離圏対流を励起する。電離圏対流は磁気圏対流の速度とダイナモパワーを規定する。これが自己無撞着的なループとなった複合系が、磁気圏対流である。サブストームシミュレーションのために開発されたMHDシミュレーションスキーム(有限体積TVDスキーム)は高精度であるので、これを用いて他の磁気圏現象の研究も大いに進んだ。SC(磁気嵐急始)はPRI(初期反転インパルス)とMI(主インパルス)からなるが、磁気圏を伝搬する圧縮波が作り出す磁気圏-電離圏結合電流系がPRIを発生させる様子、その後の対流変動がMIを生成するメカニズムが解明された。この結果は、世界で行われた同様の研究より格段に明確であり、日本のお家芸であるSC研究の伝統を守ることが出来た。

研究成果

• [文献書誌] Tanaka, T.: "Finite volume TVD scheme for magnetohydrodynamics on unstructured grids"Space plasma simulation, Lecture notes in Physics, ed. By J.Buchner et al., Springer. 275-295 (2003)
• [文献書誌] Tanaka, T.: "Formation of magnetospheric plasma population regimes coupled with the dynamo process in the convection system"J.Geophys.Res., doi:10.1029/2002/JA009668. 108(A8). (2003)
• [文献書誌] Fujita, S., T.Tanaka, et al.: "A numerical simulation of geomagnetic sudden commencement, 1. Generation of the field-aligned current associated with preliminary impulse"J.Geophys.Res., doi:10.1029/2003JA009763. 108(A12). (2003)
• [文献書誌] Fujita, S., T.Tanaka, et al.: "A numerical simulation of geomagnetic sudden commencement, 2. Plasma processes in the main impulse"J.Geophys.Res., doi:10.1029/2003JA009407. 108(A12). (2003)
• [文献書誌] Watanabe, M., T.Tanaka, et al.: "Polar cap bifurcation during steady-state northward interplanetary magnetic field with |By|〜Bz"J.Geophys.Res., do-:10.1029/2003JA009944. 109(A1). (2004)
• [文献書誌] Fok, M.C., T.Tanaka, et al.: "Neutral atom imaging of solar wind interaction with the earth and Venus"J.Geophys.Res., doi:10.1029/2003JA010094. 109(A1). (2004)