研究課題
サブストームをエネルギーレベルの高い準安定状態から、エネルギーレベルの低い準安定状態への遷移と考える理論をまとめ、論文に発表した。理論の基になったのは、太陽風-磁気圏-電離圏結合MHDシミュレーションによる3次元数値解の解析であり、全体系の自己無撞着性が満たされているモデルであることが、理論の根幹となっている。この結果は、1月にハワイで開催されたシンポジウムで発表を行ったが、カナダのJ.C.Samsonからも、この理論を観測から裏付ける結果の発表があった。次にサブストームを更に進め、磁気嵐の理論を開発するため、MHD-粒子連成モデルの開発に着手した。磁気嵐、環電流生成など非MHD効果を予測するためには、個々の粒子の運動を追跡する必要があるので、MHDで求めた非構造格子上の場の中での粒子追跡を開発した。粒子追跡の高速化を計るため、MHDコードでは領域分割による並列化、テスト粒子追跡ではグループ化による並列化を行い、両者を共存させるコードを設計した。粒子追跡においては、各グループごとに時刻同期を行い、外部磁気圏の遅い旋回粒子と内部磁気圏の速い旋回粒子を同時追跡できるようにした。実際に磁気圏中での粒子追跡を行い、太陽風粒子のカスプへの侵入、内部磁気圏へのドリフトと加速などが再現された。今後はこれを基に、グローバル磁気圏粒子シミュレーションを計画し、磁気嵐のモデルを開発する。サブストームのMHDモデルを実際の宇宙天気予報に役立てるため、高速計算とリアルタイムグラフィックスを開発し、リアルタイム宇宙天気予報モデルを構築した。さらに、これを情報通信研究機構が運用する宇宙天気予報システム上で実際に稼動させ、リアルタイムサービスを提供することに成功した。現在は常時モデルが運用され、全世界からリアルタイムアクセスが行われている。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (5件)
Space Weather 4
ページ: doi:10.1029/2004SW000100
J.Geophys.Res. 110
ページ: doi:10.1029/2004JA010997
ページ: doi:10.1029/2005JA011055
in Non equilibrium transitions -in plasma, Astrophysics and space science library(edited by A.S.Sharma)(Springer)
ページ: 91
in Multiscale coupling of sun-earth processes(edited by A.T.Y.Lui and Y.Kamide)(Elsevier)
ページ: 217