研究概要 |
本年度は3年間の研究のまとめをおこなった。 2003年12月にインドのカルカッタ西方のDalma、 Dhanjori、 Jaganathpur、 Ongarbilaで採取した火山岩17試料の40Ar-39Ar年代測定の結果をまとめて、秋の日本火山学会で発表した。 結果は、(1)Dalmaの3試料より、1800-2000Maの年代が得られ、この年代はネパールのDwarの岩石の年代結果1700Maと一致した。しかし、希土類元素のスパイダーグラムはネパールの岩石のそれと異なっており、また、薄片の顕微鏡観察からも全く同じ火成活動によるものかどうかは判定できなかった。 (2)Dalma, Dhanjori, Ongarbilaの計4試料より、1550-1670Maの年代が得られたが、Age Diagramで右上がりの最高温度年代なので、オリジナルな年代かどうかは判断できなかった。これらのスパイダーグラムは(1)の岩石とこれらが異なっていることを示していた。 (3)Dhanjori、 Ongabilaの中温(900-1200℃)から950-1050Maの年代が得られた。この年代は、ゴンドワナ大陸で近くにあった南極のNapia岩体に貫入しているドレライトの40Ar-39Ar年代と同じであり、関連性が考えられた。 (4)Dalmaの800-900℃とJaganathpurの1000-1200℃より、450-550Maのパンアフリカン変動に対応する変成年代が得られた。 これらの年代や化学分析情報から、インドの岩石とネパールの17億年ドレライトとは、同じ年代が得られたが、化学分析の結果からは、同じであるという結論は得られなかった。17億年のテクトニクスを組み立てるためには、今後、ガンジス川流域の岩石の年代測定も行って、インドからネパールまで連続的なデータを得ることが必要であると思われた。 なお、2005年11月以降も、同地域に貫入しているダイクの40Ar-39Ar年代測定も行っているので、その結果とあわせて、5月の地球惑星科学連合の大会で発表し、それと同時に論文にまとめて公表する予定である。
|