研究概要 |
1.北太平洋で普及している年代尺度の精度をさらに高めるために、三陸沖ODP Sites 1150-1151の珪藻層序の再検討を行い、古地磁気層序や放散虫などの微化石層序との直接対比を介して編年を行った。北西太平洋地域を代表する種々の基準面について年代値を算定し、同時に掘削井の堆積速度を再計算した。特に中/鮮新世境界に関して、その深度が船上分析に比べて200-300mも降下したことは、鮮新世の堆積速度が極めて速かったことの再評価につながった。 2.山形盆地西縁部の山形大海牛産地近傍において堆積相解析、岩相層序の再編および生層序区分の検討を行った。その結果、陸棚浅海部の砂質底および泥底の比較的に高エネルギーの確積場において、中〜上部中新統のThalassiosira yabei帯、Denticulopsis dimorpha帯を経てDenticulopsis katayamae帯までの区分が不連続ながら確認できた。しかし、中部中新統については続成変化によってオパールCT相に達した硬質頁岩が主体となっており、珪藻化石による年代決定は実現できなかった。 3.後期新生代における年代決定の分解能をあげるためにNeodenticula属やThalassiosira属以外のタクサについて検討を試みた。角状の特異な形態を有するProboscia属の2種(P.barboi, P.curvirostris)について鮮新世から更新世にかけての形態変異と生存期間の分析を行った。更新世の示準種P.curvirostrisについては2タイプに細分が可能であるが、層位的分布は既存の基準面等と同質であることが確認できた。鮮新世におけるP.barboiについては6タイプの形態に細分することができたが、各々の層位的分布を的確に把握することはできず、地理的変異の確認にも未解決な問題が残った。
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